11. 酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)
心白(しんばく)といって、米の中心部が白色不透明になっている米で、この発現率が80%以上あるものです。これは、米がデンプンを作るとき、中心部のデンプン集積が粗になったために細かい隙間ができ、このため光が乱反射して白く見えるのだといわれています。これに対し、腹白(はらじろ)は、白色不透明な都分が米の腹側にあるので、精米していくと白色不透明な部分が崩れてしまうので嫌われます。
酒造好適米は、粗タンバク含量が一般米に比べて低いことが特徴です。昭和59年度に調べた銘柄米30点の粗タンバク含量の平均は5.15%(最高 6.0%,最低4.0%)であるのに対し、一般米として全国各地で使われている日本晴29試料の平均は5.86%(最高7.5%、最低4.5%)でした。飯米は、タンバク質やアミノ酸などが多いと食味がよくなり、また私達の食生活に必要なタンパク質の摂取も米にかなり依存していますから、多いほどよいのですが、酒造にはうま味以外に雑味をつけたり、色をつけたりするので多いと嫌われます。
玄米千粒の重さが25~30gと大粒であることです。これも59年度の調査結果ですが、銘柄米30点の平均が26.38g(最高30.5g,最砥23.2g)日本晴29点の平均が22.69g(最高24.2g,最低21.0g)で、酒造好適米の中で最も人気のある山田錦は、26.1~27.0gの範囲に入っていました。
酒造好適米は、栽培しにくいという欠点があり収量もそれほど多くありません。このため購入申込みをしても全量求めることは出来ません。59年度の生産量と申込み量から充足率をみると76.5%となっており、兵庫産山田錦は81.1%でした。これは、銘柄米は米価のうえにさらに価格差がつけられており、数百円のものから6~7千円のものまであるからで、最近の吟醸酒ブームは、山田錦などの酒造好適米の不足をもたらしています。
酒造好適米は、別に軟質米ともいわれます。これは、吸水性がよく,蒸した時外硬内軟の蒸米が得られやすく,また麹米にしたとき、麹歯の菌糸が米の中心にまで入りやすい(はぜ込みがよい)酒母や醪の中でアミラーゼなどの酵素作用を受けやすいなどを意味し、日本晴などの硬質米と区別しています。農水省でも硬質米,軟質米といっていますが、これは栽培地域によって分けているもので、軟質米は、米の規格のうち水分含量の多いもの(主として東北地方や北梅道など、裏日本で採取されたもの)をいい、酒造りの場合とは違っています。
酒造好適米は、1粒あたりの粗タンパク含有量が、一般米と比較して低いことが特徴。醸造試験場の調べ(昭59)では、酒造好適米30銘柄の平均粗タンパク含有景は5.15%、これに対し、飯米の平均は5.86%。飯米の場合、タンパク質やアミノ酸などが多いと食味がよくなりますが、酒造好適米の場合、過分のタンパク質は、うま味以外に、雑味や色をつけたりする原因とされ嫌われています。
酒造好敵米と飯米の玄米での重さの比較では、千粒の重さでは、平均で好適米が26.4g、飯米が22.7gと好適米の方が飲米より粒が大きく重い。粒が大きい方が、蒸し米にする際に吸水カがよいという利点があります。酒造好適米は、大粒であることのほか、溝が浅いこと(精米の時に糟が残らない)、胴割れが少ないこと(急激な乾燥などにより精米の際、砕米する)で、吸水が早いとともに、麹菌がはぜ込みやすい、糖化されやすいといった特質を持っています。
現在は山田錦(兵庫県)、五百万石(新潟県)などに代表されるように、全国に約70品種があります。飯米の精米歩合は平均90から92%といったところですが、酒米では平均72%となっています。精米歩合を高めると、粗タンパク質、粗脂肪分などが大きく削減
でき、かつ一粒にしめるデンプン価は相対的に上昇します。
現存、清酒(普通酒)1KLを製造するのに、玄米にして約350KG、白米にして260KGが平均的な量のようです。