02. 山廃(やまはい)って何?
呼び名そのものが作り方をあらわしているようなものです。
山廃とは、山おろし廃止もとのことで、その山おろしとは、半切りという大きなたらいのような桶に蒸し米、麹、水を入れて、櫂棒という丁度デッキブラシの毛が無いような器具で根気よくすりおろして行くものです。蒸し米と麹と水を桶の中に入れ、そのうち米が水を吸って山のように盛り上がり、それを端からすりおろすようにくずして行くので山おろしと言うように聞きました。(まさしく言葉どおりの作業です。)
ちなみに大変な重労働で、二人で一桶すり潰すだけで汗だく状態!ゼイゼイ息を切らして作業しました。この作業で麹と蒸し米は、まるでおかゆのような状態になり、この過程で蔵付きの乳酸菌や酵母が入り込むといわれています。
早朝に何個も桶を並べて、もと摺り歌に合わせて右へ左へとすりおろして行く作業は、見た目にはとても情緒があり、いかにも「手作業の酒造り」といった風情ですが、作業自体は単調で辛いものです。この辛い作業を省いても、もと造りができるようにと考案されたのが 山廃もとであり、もと摺りをして造ったのが「きもとづくり」、同じきもとづくりでも、もと摺り (山おろし)をしないで乳酸菌を増殖させたのが「山おろし廃止もと」で「山廃づくり」となります。
ちなみに乳酸菌を使わずに直接乳酸を添加する「速醸もと」で造っても、「山おろし」はしませんが、「きもと」では無いので「山廃」とは言いません。