山廃ってなに?
呼び名そのものが作り方をあらわしているようなものです。
山廃とは、山おろし廃止もとのことで、その山おろしとは、半切りという大きなたらい
のような桶に蒸し米、麹、水を入れて、櫂棒という丁度デッキブラシの毛が無いような
器具で根気よくすりおろして行くものです。蒸し米と麹と水を桶の中に入れ、そのうち米
が水を吸って山のように盛り上がり、それを端からすりおろすようにくずして行くので山お
ろしと言うように聞きました。(まさしく言葉どおりの作業です。)
ちなみに大変な重労働で、二人で一桶すり潰すだけで汗だく状態!ゼイゼイ息を切らして
作業しました。この作業で麹と蒸し米は、まるでおかゆのような状態になり、この過程で蔵付
きの乳酸菌や酵母が入り込むといわれています。
早朝に何個も桶を並べて、もと摺り歌に合わせて右へ左へとすりおろして行く作業は、
見た目にはとても情緒があり、いかにも「手作業の酒造り」といった風情ですが、作業自体
は単調で辛いものです。この辛い作業を省いても、もと造りができるようにと考案された
のが 山廃もとであり、もと摺りをして造ったのが「きもとづくり」、同じきもとづくりでも、
もと摺り (山おろし)をしないで乳酸菌を増殖させたのが「山おろし廃止もと」で
「山廃づくり」となります。
ちなみに乳酸菌を使わずに直接乳酸を添加する「速醸もと」で造っても、「山おろし」
はしませんが、「きもと」では無いので「山廃」とは言いません。