蒸米にカビ(麹菌)を繁殖させたものを麹といいます。蒸米中のデンプンや
タンパク質を、酵母が利用できるようにプドウ糠やアミノ酸に分解する働き
をします。麹の本体は、アミラーゼ、プロテアーゼといった酵素で構成されて
おり、この酵素が糖化をします。また、ピタミンなど酵母の栄養源となる物質
も作っています。清酒らしい香味、蒸米の溶解に必要な酵素と深く関与するこ
とから、酒質への影響はたいへん大きいです。
 山田錦や五百万石といった酒造好適米には、でんぷんが75%、たんぱく質が
5〜6%含まれていますが、麹菌はこれらを分解する酵素をバランスよく生産
してくれます。麹の重要性はまさにここにあります。
清酒には黄麹、焼酎には黒麹などが用いらます。

 製麹は、28度前後の蔵の中で最も暖かい部屋で行われます。蒸米上に
撒かれた麹の胞子は、温度と湿度により発芽し、次第に米の表面に菌糸
を伸ばします。菌の生育が盛んになると蒸米の温度も上昇するので、温度管
理が必要です。温度・湿度をうまくコントロールし、良い麹をつくるのが杜
氏の腕の見せどころで、酵素の作られ具合を手で握ったり、香りをかいだり、
口に含んだりして菌糸の生え方を検討していくのです。

 「一麹、二翫、三造り」といわれるように、酒造りで最も重要な行程が、
麹づくりです。
 製麹には、伝統的で、1製麹単位が1.5KG程度の「麹蓋法」、
その1単位を15KGから40KGと大きくした「床麹法」、
自動または半自動の「機械製麹法」と大きく分けて3種類あります。
 
 麹造りには2昼夜が必要で、麹が生育する最中に、酸素の供給や熱の発散、
水分の除去など数多くの手入れが必要です。現在では、従業員の不足や夜間作業を
なくすために、製麹機によるいろいろな自動化が進んでいます。
麹の役割